目下、モスクワでは一人暮らしをしており、当然、炊事洗濯掃除その他は自分でやっています。
今日は「女性の日」で休日だったので、朝から溜っていた洗濯物を片づけたり掃除機を掛けたりして、今は米が炊けるのを待っているところ、という「主夫」っぷりです。
しかも炊飯器は高いので、いまどき「はじめチョロチョロなかパッパ」式の鍋炊きです(なれるとなかなかいいものですね)。
さて、こうした一生活者としての視点から非常に面白かったのが、カフェでたまたま見かけた『トゥルード』紙2月26日の「問題の数字」というコーナー。
警察改革に関する記事の一部として、治安機関の給料が列挙されていました。
★内務省の平巡査の平均給与:1万1000ルーブル(約3万3000円)
★検察官僚または司法関係者の平均給与:2万900ルーブル(約6万9000円)
★保安機関の第一線職員1000人の平均給与:2万5000ルーブル(8万2500円)
★FSB職員の平均給与:同上
FSB職員が月10万円にも満たない給与で働いているというのも驚きですが、お巡りさんの給料が3万3000円というのが凄い。なにしろモスクワの物価は東京を抜いて世界一ですから、もうほとんどブラックジョークのような給料です。
ためしに、僕がさっきスーパーで買ってきた様々なものの価格を以下に列挙してみましょう。
★グレープフルーツ・ジュース(Rich-やや高めのブランド):84ルーブル(約277円)
★ポテトチップス:39.3ルーブル(約139円)
★グリーンサラダ用生野菜詰め合わせ(2-3人分):143.5ルーブル(約474円)
★コーンフレーク(ネスレの一番安い奴):76.5ルーブル(約252円)
★牛乳(500ml):36.6ルーブル:約121円)
★ネギ(2本):79.11ルーブル(約261円)
★週刊誌(『プロフィーリ』):41.6ルーブル(約137円)
★ビール(カールスバーグ 500ml):47.6ルーブル(約157円)
ビールがかなり安いほかは、ほぼ東京並みの物価であることが分かるかと思います。むしろ野菜なんか日本よりずっと高い印象です(要するに、アル中になりやすく野菜は不足しがち、という最悪の物価構造)。
当然、上記のような給料ではこの物価水準の中で暮らしていけるわけは無く、これが相次ぐ公務員汚職の原因になっているわけです。給料は高校生のアルバイト並み、物価は東京並み、さらに家族を養わねばらない、となったら、汚職に手を出してしまう公務員は少なくないでしょう。
もちろん、汚職を擁護する気は一切ないのですが、警察官個々人の生活というものを考えた場合、彼らをただ「悪徳警官」と断罪するようなやり方では問題がこじれるだけだろうと思うわけです。多くの警官は基本的に良識ある人々な訳で、彼らがまともに暮らしていけるだけの給料を与えてやれれば、わざわざリスクを冒して汚職に手を染めようという人の数は激減するでしょう。
これに対してメドヴェージェフ大統領は先月、警察官の平均給与を300~660ドル(地域の物価水準によって変動)に引き上げる方針を示しております。
つまり、最も物価が高いモスクワなら大体7万円くらいの月給になるわけですが、それでも精々、「高校生のバイト代」が「大学生のバイト代」になった程度で、根本的に生活が安定するほどの学徒はやっぱり言えない。また、同改革では警察官の実に20%が首を切られることになっており、彼らの再就職問題も大きな懸念材料として残っております。
一見豊かになったようでも、ソ連崩壊によって生じた歪みはまだまだ解消されてはいないのだな、と一モスクワ住民として考えてみました。